金融消費者 2009 5 24

書名 金融商品とどうつき合うか
著者 新保 恵志  岩波新書

 昔話をしましょう。
これは、私が20代後半の話です。
その頃の私は、スキーが好きで、冬スキー、春スキー、
さらに夏スキー(高山)まで計画していました。
そんな私でも、驚くことが、たびたびありました。
上級者向けゲレンデに、なぜか、時々、初心者が紛れ込んでいたのです。
 これが、どんなに危険なことか。
上級者向けゲレンデは、傾斜がきつく、
場所によっては、急傾斜の上に、こぶが多いのです。
さらに危険なことは、こうしたゲレンデは標高が高いので、
天候が変わりやすいのです。
突然の濃霧で、前が全く見えなくなることもあります。
 上級者ならば、こうした困難を攻略する楽しみがありますが、
初心者にとっては、かなり危険です。
 スキーの話では、よくわかっても、
これが、金融や投資の世界でも、同じことが起きていると、理解していますか。
 スキー場で、上級者向けゲレンデに、
なぜか、時々、初心者が紛れ込んでいるように、
金融や投資の世界でも、なぜか、初心者が紛れ込んでいるのです。
 株式投資すら経験がないのに、
そんな投資の初心者が、
株式投資よりもハイリスクな金融商品を買っているということが起きているのです。
 今風に言えば、
株式投資すら経験がないのに、いきなりCFDをやってしまうようなものでしょうか。
(CFDとは、差金決済取引のことで、
最近流行のFX取引は、CFDから通貨の部分を取り出した取引と言えるでしょう)
 将棋の世界では、プロと素人が戦うことは、あり得ないでしょう。
判断力、分析力、情報力、交渉力(戦術)で、圧倒的な差がありますので、
このような試合は、成立しないでしょう。
 しかし、投資の世界では、
何と、プロと素人が、一緒になって戦っているのです。
ここに、大きな問題点が潜んでいるのです。
あなたは、投資のプロに勝てますか。
今、あなたが買った株は、
百戦練磨のプロが「もう天井だ」と思って売った株かもしれません。
 最近、金融に関する本が、数多く出版されました。
しかし、本書は、画期的だと思います。
この本は、消費者の視点から、金融商品を見ている本です。
 内容的に、投資の初心者には難しいかもしれません。
しかし、金融教育の教科書には最適でしょう。
 それにしても、金融商品については、どうしましょうか。
金融教育には、時間がかかる上に、対象者が膨大な数でしょう。
 金融商品に、スキー場のように、
初心者向け、初級向け、中級向け、上級向けという表示をつけるようにすべきでしょう。
これなら、わかりやすいかもしれません。



















































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